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     第三話「セラペリオー」


 3時間待ちの3分診療、これが、医療機関に対して患者さんが持つ不満の第一である。」
ある講演会での、某新聞主筆の方の発言だ。この事は私自身も日頃から苦慮している事でもある。その方に私は次の質問をした。「一人の患者さんに充分時間をかけて対応すれば、他の患者さんをお待たせする時間が長くなる。待ち時間をへらすためには、一人当たりの診察時間を短くしなければならない。当然の結果として、説明が不充分になる。この矛盾を解決する方法があれば教えて頂きたい。」その方も、具体的な方法論はお持ちではなかった。
 以上は前置きだ。
 当院では、“充分な説明・待ち時間の短縮”を両立させるために次のような努力をしている。
★二人の耳鼻咽喉科専門医による診療体制。(3人の専門医が診療している時間帯もある。)病気の説明は、スタッフに任せず医師が必ず自分で行っている。時間はかかるが、患者さんに安心して頂くには、絶対に医師自身の説明が必要だ。
★言葉による説明以外に、私の手作りの耳鼻咽喉科疾病の説明書を患者さんに手渡して病気に対する理解を深めていただくようにしている。
★受付、看護助手を増員し、診療の円滑化を実行している。
★会計、領収書、処方箋の発行をコンピューター化し、診療後の待ち時間を短縮するように努力している。
★予約電話を導入して、携帯電話、パソコンからの予約も可能にしている。直接来院した方の枠も確保してある。詳しくは電話で御確認頂きたい。



 
 予約電話システム
★医師の判断で、高熱の方、ひどいめまいの方、出血している方、呼吸困難等重症の方、お体が御不自由な方の診察は優先的に行うこともある。御了承して頂きたい。
 私達医師が日常使う“セラピー(治療)”という言葉は、セラペリオー(ギリシャ語)を語源とし、“治療”と、“慰める”、という二つの意味を持つという事を最近知った。
「セラペリオー」を当院医療の原点とし、ヒポクラテスの誓いを忘れずに、日々の診療を行う事を決意している。
 
 ヒポクラテスの像
(ヒポクラテスについては 後日この院長余話でふれる)


           2010年2月1日
矢野耳鼻咽喉科 院長 医学博士 矢野 潮