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      第十話「熱中症
 
 この夏の異常な暑さのため、本年7月の1カ月間で、病院に搬送された熱中症の患者さんは1464人。昨年の約4倍に達したと東京消防庁が発表している。
 熱中症;私が慶応医学部で学んだ頃には、熱射病、日射病と教わり、熱中症という言葉を聞いた記憶はない。学生時代の受講禄を探し、やっと探し当てた医学部時代の古ぼけた講義ノートには下記のように記されていた。
★熱射病:溶鉱炉等の高温下で長時間労働をした時におこる。
★日射病:真夏の高温多湿時、頭部や項部に直射日光を長時間うけながら、労働、スポーツをした時におこる。
結局、熱中症という言葉は私のノートには見あたらなかった。1981年1月編集の南山堂の医学事典にも熱中症という項目はない。
 更に調べたところ、熱射病も日射病も高温多湿のもとでおこり、そのメカニズム、症状、治療方法がまったく同じことから最近では熱中症として統一されたようだ。予防及び治療方法は、新聞、テレビで詳しく報道されているので省略する。
 私は、「炎天下で学校運動部員が熱中症をおこした時はコーチの監督不行き届き」、「ゴルフ場等でゴルファーが倒れるのは自己責任」、「乳幼児の熱中症の予防は父母の保護責任」だと断じている。しかし、一人暮らしの高齢者が熱中症で亡くなったというニュースにはやりきれない思いがする。その予防は行政の責任と切って捨てて良いものだろうか。難しい問題だと思う。
尚、ペットにも熱中症が起こるという。
 
 暑いの
ジョークかも知れないが、気温50度に近いアフリカでは海水浴でヤケドをするとの事だ。
(暑がっている愛犬プリンについては、院長余話で後日詳しくふれる。)
           2010年8月5日
矢野耳鼻咽喉科院長  医学博士 矢野 潮